参加者自身の興味・関心に基づいたイルカとの触れ合いには決められたプログラムでは気づかない点があります。


辻井 正次 (ご挨拶)

協会副理事長/中京大学現代社会学部教授/浜松医科大学客員教授

 

様々な動物の助けをかりて、心身の機能回復を目指したり、子どもの発達や成長を支援すること、社会生活の質の向上を図る活動などを総称して動物介在活動(AnimalAssisted Activity)と呼びます。イルカ触れ合い活動は、イルカとの触れ合いを中心にした海辺で行う動物介在活動の一種です。イルカ触れ合い活動は、人間の根源的な欲求に応えた本質的な喜びや快感を伴った活動であり、老若男女や障がいの有無を問わず誰でも利用して楽しめる魅力的な余暇活動といえます。

動物介在活動の内で、特定の疾患の治療や支援を直接の目的として、対象者の症状に応じた具体的な目標の設定と効果を得るためにデザインされた手順に従うものに限って動物介在療法(AnimalAssistedTherapy)と呼び、他の動物介在活動と区別しています。動物介在療法は、十分に管理された実施条件の下で医療関係者が中心となって実施するもので、事前の診断や事後の評価が不可欠の実施要件となる医療行為として位置づけられるものです。しかし、現在のところイルカ介在療法の効果やそのメカニズムは十分に解明されてはおらず、確立された治療法とはいえません。にもかかわらず、実施に必要な人件費等の費用が高額となるため一般の利用が難しくなるとともに、自由に動物とかかわる活動本来の楽しさが制限されるなどの問題もあります。

そこで、この障がい・者イルカ触れ合い特別活動では、敢えてイルカ介在療法としての実施要件にはこだわらずに、イルカ介在活動本来の魅力である楽しさを損なうことなく障がいを持った多くのお子さやご家族様、障がいを持つ人や社会生活活動参加に制限がおありになる方々気軽に安心して参加できるように活動をデザインしました。

今年度より作業療法士(OT)が障がい児・者イルカふれあい活動に介在します。この活動は特定の疾患の治療を目的とするものではありませんが、OTが活動前の面談からお子さまの様子やご家族様の思いを伺いながら、お子さまにあったプログラムを選択し、お子さまがより楽しく活動できるよう組み立てます。また、お子さまに限らず障がいをお持ちの方、社会生活における活動と参加制限をお持ちの方などに対し面談を通してその人がその人らしく楽しめる活動となるように活動を組み立てます。

活動中は、参加する子ども、人達とイルカの自由な意思を最大限に尊重しつつ、安全で楽しい時間を過ごせるようにドルフィンキーパーとOT(*1)お手伝いをします。

安全性を考慮し、参加条件や触れ合いのコースを設定しておりますあくまで原則ですので場合によっては例外もあり得ます。

がい・者イルカ触れ合い活動は、イルカの居る海辺での楽しいレクリエーションの実現を目指す実践的活動ですが、同時に、この活動が参加者に与える影響や効果・効用についての学術的な調査も重要であると考えています。活動実施中の参加者やイルカの行動観察も実施しておりますので、ご理解とご協力お願いいたします。

 

(*1)

ドルフィンキーパー:イルカ飼育に携わっており、またイルカとヒトとの触れ合いにおいて相互の橋渡しをするスタッフを指します。

OT(作業療法士):作業療法士は、すべての人の身体と心のリハビリテーションを行う専門家です。

人の日常生活に関わる全ての諸活動(日常生活活動~余暇活動)を「作業」と呼び、その人のあらゆる人生のステージを「楽しみのある活動・作業」を通して生きがい・やりがいをもって豊かに生きることを支援ます。